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建築設計:関野阿希子/Sekino Architects Office +上田知正/October

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photo:平井広行
photo gallery :Sekino Architecs Office 内 HPにて

解析モデル(部分)



        (上はgoogle earthより)

東京都練馬区に建つ専用住宅。 ほぼ平屋で、部分的に2F部、地下部を持つ。RC壁式構造。

「ヴォリューム」「メッシュ」と呼ぶ2つの要素で構成される。

左図、紫部の「ヴォリューム」は生活の場である各小部屋である。

それらの間にまさに縫うように走っているのが「メッシュ」(同図グレー部)。1mの一定幅で小部屋を結合する廊下となっている。

中央の車路が全体を2分する。

設計段階にて、各小部屋は、自らが欲する面積を確保すべく、アメーバの増殖のようにPCスクリーン上で拡大する。

敷地境界線内で、という制約条件のもと、各者は自己の欲望を満たそうと押し合いへし合い、 おしくら饅頭のごとく「陣取り合戦」を行う。

各者が均衡に至った頃、もはや直交座標系は意味を失い、設計図面から立ち去る。

代わりに設計図面を統治し、通り芯となるのは「メッシュ」である。



上記概念を初めて建築家サイドから伺った時、アメンボ、あるいはアユの縄張り争いを連想した。
また近年、伊東豊雄氏が言及するVoronoi:ボロノイにも通ずるものがある。

構造的には耐力壁となる18cmのカベ、15cmの屋根スラブ、25cm厚のメッシュスラブから構成される。
幾何形状は複雑ではあるが、構造計画的には非常にシンプルである。

このような複雑な形態は、ひと昔前までは長方形などのプリミティブな形態に置き換えて計算せざるを得なかった。

しかし、「ノングリッド」をウリとする解析プログラムのおかげで、そのような簡素化をほとんどせず 、ほぼ実態通りにモデル化して設計した。(左図)