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片持ち梁不要、ピン接合のササラ外階段

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一般的な階段は片持ち梁に乗せる

建物外部などに設けられる外階段(鉄骨ササラ階段)は、建物本体より片持ち梁を出し、それで支持させるのが一般的である(左図)。
しかしこの場合、片持ち梁(通常H鋼)が建物の外壁を貫通することとなり、その部分の防水処理が煩雑となる。

梁が貫通するのはやむ得ないとして、せめて梁がピン接合であれば、仕上げを貫通するのはタテのガセットプレート一枚で済み、H鋼を仕上げでくるむより十分簡単ですむ。
本構造形式は上記を可能とした階段である。

折板構造の原理を利用している。
必要な条件は2点のみ。
ササラ面および踊り場面をブレースを組むなどして水平力伝達可能にすること。そして本体との接合部を軸力の伝達が可能なようにしておくことである。

床面の水平力伝達の方法


この階段のしくみは以下のようになる。

まず左図1のような、山型の片持ち庇を考える。
庇の先端頂部に鉛直力Pが作用すると、その力は版の面内の分力Pa,Pbに分かれ、支点ヘ流れる。
支点には引張り、又は圧縮の軸反力と、Pに相当する鉛直反力が作用する

次に図2のように、右側の版が水平だった場合を考える。この場合も、図1と同様にPはPa,Pbの分力に分かれ、図1と同様に力が流れて反力が生じる。
このように片方の版が水平であっても、折版構造となる。

図でお分かりのように本図の斜め部が階段部、水平部が踊り場に相当する。
これより階段の形の構造体は折板構造として働かせることができる。
支点はピン接合で軸力およびせん断力のみが作用する。曲げモーメント接合する必要はない。

ちなみに図2のB点は折版効果より荷重が生じてもほとんど変位しない。一種の支点のように働く。

ところで、図2のA点はこのままでは上下方向にフラフラだから、ここは何らかの対策を考える必要がある。
これは外側のササラを利用する

図3で、E〜Hに外側ササラを取り付けると、既述よりF,G点はほとんど変位せず支点のように働くから、外側ササラはF,Gを支点とした片持ち梁付き連続梁のように働く。これによりE,H点の下がりを抑えられる。

かしくて階段は安定し、変位は微小ですむ。

これを実現するには既述のように踊り場、ササラ面を面内水平力伝達可能なようにしておく必要がある。

具体的には鉄筋などで段板裏面で水平ブレースを組めばよい。あるいは階段部を連続的にする(蹴上げも板でふさぐ)だけでもよい。

階段の支点:本体との接合部は折版効果により軸力が作用するから、これを伝達可能にする必要がある。
しかしその値はさほど大きくないため、単にガセットプレートでボルト接合し、本体梁の裏にも小梁(ピン接合)を設けておけば事足りる。(最上部図右側スケッチ)


回り階段:「いってこい階段」

AはA'に、BはB'に接合されるが、前述のようにA',B'は支点のように働くからこの場合もどちら側の階段も折版構造として働く

階段は必ず1層分斜めに登り、上下端に踊り場がつくから「折版構造」の形をしている。これを探求したもの。
一般的な、片持ち梁支持の階段と比べて、追加となるのは水平ブレースのみ。何ら特殊なこともしていない。

また本図では「鉄砲階段」を示したが、回り階段:「いってこい階段」でも可能である(左図)

なお階段のササラは、ブレースとして作用してしまい思わぬ力がかかる場合があるから 、本体が鉄骨純ラーメンなど柔らかい場合は注意する必要がある。

また本階段は全てが完成した時点で初めて折版構造として成立するから、施工方法は配慮する必要がある。

ただ具体的には、地上で階段をあらかじめ地組みして、それをクレーンで吊り上げ、支点となる4箇所を同時にボルト締めすればよいだろう

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テスト解析

モデル概形(ワイヤモデル)

モデル概形(ソリッド表示)

モデル概要:

L4m×B 1m 階段高低差=1.5m
荷重:DL=1.2kN/m2,  LL=1.8kN/m2,
∴Σw=3kN/m2, ΣW=12kN 
梁荷重3.0×0.5=1.5kN/m2
部材:梁FB-12×250, 
ブレースM20(引張専用)

荷重状態

M図 (kNm)
Mmax=0.9(内ササラ)、外ササラ片持M=0.8kNm

軸力図 (kN)  Nmax=6.4kN
ブレースの0.0は圧縮で緩んでいるため

鉛直反力 Rz (kN)

水平反力 Ry (kN)

鉛直変位: δmax=0.9mm


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